-長く付き合い続けるための、暮らしの“整理”
川崎市麻生区のマンションリノベーション。
夫婦と子供二人が暮らす家族4人の住まいを、子供の成長をきっかけに改修することとなりました。
リノベーションにおいては、居住面積が大きく増えることは基本的にありませんが、スペースを兼用したり適したサイズに整理するだけで、暮らしはがらりと変わります。プランニングを大幅に変更する斬新なアイデアでなくとも、住まいを「整える」ことで、家族の今の生活に合った住空間を提案しました。
- “整える”とは
今回のリノベーションをきっかけに、生活に必要なものを精査していく作業が同時に行われました。空間だけでなく、その中身も“整える”ことで、“暮らす人とモノの関係性”もより深くなっていくと考えます。
例えば、家の中に何個もハサミがあるよりも、一つだけを決まった場所に置き、家族皆んなで大切に使うとします。すると、次に購入する時には少しこだわったハサミを買ってみよう、という気持ちが生まれ、愛着が湧き、結果的に長い付き合いが始まることになります。このようにハサミをどこに収納するか、というような細かな検討を積み重ねることで、家全体の収納量や居住空間とのバランスが構成されていくのです。
今回もそんな過程の中で、これまで見えていなかったわずかな面積が炙り出され、リビングの拡張や水回りのサイズアップ、子供部屋のデスクスペースの確保、ファミリークローゼットの配置など、今の暮らしに必要なスペースに割り当てていくことができました。
- インテリアスタイリングも設計の一部
施主はアンティークの家具をいくつか所有していました。さらに今の暮らしに必要な家具をアンティークで追加し、シンプルな空間に家具が際立つように、インテリアスタイリングは「on the shore」の谷俊介氏に協力頂きました。完成後に置く家具をあらかじめ想定して設計をしていくと、花瓶や飾りたい絵のイメージが湧いてきて、具体的な暮らしを想像しながら一緒に家づくりを楽しむ事もできます。買い替え予定だったソファもカバーだけを新調し、使い続けるアイデアも谷氏から提案してもらいました。
リノベーションは、断熱などの性能の向上、劣化した設備や仕上げの修繕も大きな目的ですが、その家族の暮らし方を読み解き、モノと住まいを長く使い続けられるように“整理する”機会だと思います。長く使い、付き合い続けるということは、情報や選択肢が多い現代だからこそ大切な事なのではないでしょうか。
チーム:
デザイン: ボタンデザイン
監修:on the shore
施工:住環境協ジャパン
写真:小松正樹